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ペルチェとコンプレッサーの違いについて

ワインセラーには、冷却方式が2種類あります。
一つは「ペルチェ」、もう一方は「コンプレッサー」。

これらは、ワインセラーに搭載されている「冷やすための部品」です。
この記事では、両社の比較をしながら、「コンプレッサーが優れている」ことをお伝えするために書いていこうと思います。

具体的にお伝えしたいことは、以下の2つです。
コンプレッサー式が、

  1. トータルでかかる費用が安く抑えられる場合が多い
  2. ペルチェより何倍も高い性能で、ワインをきちんと温度管理できる

お客様が本当に知りたいことは、「どうしてコンプレッサー式はちょっとお高いのか」ということ

当社では、日々お客様から製品に関するお問い合わせをいただきます。その中に、「ペルチェとコンプレッサーはどのように違うのでしょうか?」というご質問があります。 その質問の多くは、「ペルチェ式とコンプレッサー式のワインセラーには製品価格差があるように感じる。その理由が知りたい」ということを意図している場合が多いと感じています。 おおよそ、下にまとめたような比較イメージを持っている方が多いようです。
多くは、「ワインセラーを導入したいけど、まだ初心者だ。低予算で導入したい」という場合に、「お手頃なペルチェタイプのワインセラーでも大丈夫なのだろうか?」という懸念からのご質問であるようです。 そのため、まずは「コンプレッサーのほうがお手頃なこともありますよ。」ということからお伝えしたいと思います。

製品価格だけではない、ワインセラーに掛かる『トータル費用』

ペルチェ式のワインセラーは、コンプレッサー式と比較すると、お手頃な価格であることが多いと思います。でも、実際にかかる費用は、製品価格だけではありません。費用面で、確認しておきたいものは以下の4つです。

  1. 製品価格
  2. 電気代(ランニングコスト)
  3. 保守費用(故障した時にどのくらいかかるのか)
  4. 廃棄費用(買い替え時など)

製品価格だけで単純比較されがちですが、そのほかのことも説明して、1~4までのトータル費用で比較していきます。

ペルチェ式はコンプレッサー式より高級品!?

ワインセラーは、24時間365日休みなく使用しつづける製品。だから、「電気代、保守費用、そして廃棄費用も大切だ」という視点で見ていく必要があります。そして、トータルでは、「コンプレッサー式にコストメリットがある」という見方ができます。

同じ12本収納タイプのワインセラーで比較してみると、こんなグラフになります。

電気代の差は当然。冷却パワーが、5倍~8倍以上も高いコンプレッサー

ペルチェにもコンプレッサーにもCOP(Coefficient Of Performance)という「冷却のエネルギー消費効率」を示す成績係数が定義されています。同じ電気エネルギーを投入して、得られる冷却効果を数字で示したものです。ワインセラーに使われているペルチェは「0.2」くらいなのに対して、コンプレッサーは「1.0~1.6」程度あります。ここでは、COPを分かりやすく「冷却パワー」とたとえました。この冷却パワーを比較すると、両者には5倍~8倍以上もの差があります。

冷却パワーの差は、運転時間でリカバー。だから、ペルチェは電気代が高くなりやすい

ワインを1本冷やすのに求められる冷却総量(成果)は同じです。ペルチェとコンプレッサーはそのための手段(how)にすぎません。冷却パワーの差を補うために、ペルチェはもっと長い時間電気エネルギーを使ってワインを冷やす必要が出てきます。


ワインの冷却 = 電気エネルギー × 冷却パワー(COP) × 運転時間

よって、「冷却パワーの差」は、「運転時間の差」とも言い換えることができます。下のイラストにあるように、定格出力(電気エネルギー)はどちらも同じ65Wのワインセラー。同じ量の電気エネルギーを使っていても、冷却パワーが小さいと、ワインの冷却が完了するまで長い時間をかけて運転を続けていくので、その結果、電気代が高くなるのです。

長時間の連続運転は、部品に負荷がかかりやすい

コンプレッサー式に比べて長時間運転になりやすいペルチェ式は、動力部品や基板の電子部品が、高温状態になりがちです。発熱状態にさらされた部品は劣化が早くなりやすく、つまり、製品の故障リスクが高まります。特に、ファンモーターの寿命(動作保証時間)は、周囲温度に依存します。放熱による高温状態が続くヒートシンクにセットされたファンは、モーターの潤滑油が早く消耗するので、結果的に部品の劣化につながりやすくなります。これは、製品固有の問題ではなく、ペルチェを使ってワインを冷やそうとするからこそ起きやすい現象です。

修理は不可!?ペルチェのセラーは、故障すると「買い直し」以外に選択肢がない

ペルチェ式ワインセラーを販売しているメーカーで、 自宅まで修理に来てくれる会社はほとんどありません。(当社調べ) ご自宅に伺うまでの出張費や電子部品交換などの技術作業費は、ペルチェやコンプレッサーに関わらず固定でかかってしまうものです。修理するときにかかるこれらの費用を加算すると、製品価格に近い金額になってしまう場合があります。修理費が、製品価格と比較して高額になる場合は、修理してまで使用し続けるユーザーメリットはなくなります。セラーを購入する際に各メーカーのサービス体制のチェックが重要なのは、修理ができるかどうかや、保証期間などを調べておかないと、不具合が出た場合に、「廃棄して買い直し」以外に選択肢がないことを防ぐためでもあります。

ちなみに、当社では保証期間外の有償修理時も一部をメーカー負担としているため、お客様の負担額は平均的に6,000円~15,000円くらいとなっています。また、コンプレッサーの冷却回路部品には2年~5年の長期保証期間を設定するとともに、製品を無償で交換する以外は、100%出張修理対応をしています。

廃棄費用はコンプレッサーもペルチェも同じ

製品故障のリスクが高いということは、最終的には短期間で廃棄処分しなければならないことにつながっていきます。ワインセラーは、「家電リサイクル法」に基づいた使用者の適切な廃棄処分が必須の製品。そのため、廃棄にも料金がかかります。廃家電の処理は、ペルチェもコンプレッサーも同じように扱われるため、買い直しの上に、廃棄料金まで嵩むことが考えられます。 このように、トータルの費用で比較すると、コンプレッサー式のほうが割安だという見方もできるのです。

ペルチェ式のワインセラーは電気代を表示する義務がない

さて、電気代の話に戻ると、ペルチェ式のワインセラーの電気代が実際にどのくらいかかるのかという情報がほとんどありません。これには、法律が大きく関係しているように思います。一般家庭用のワインセラーには製造会社が守る関連法律が3つあります。そのうち、「家庭用品品質表示法」という法律における消費電力の表示義務は、ペルチェ式ワインセラーには適用されません。

ワインセラーの関連法律

  1. 電気用品安全法(PSE)
  2. 家庭用品品質表示法
  3. 家電リサイクル法

ペルチェ式のワインセラーは、年間消費電力量(一年間の電気代の表記:JIS基準による)を製品ラベルに掲載する必要がないので、どのくらいの電気代がかかるのか消費者に伝える義務を負わないとも言えます。


次に、「コンプレッサー式のほうが何倍も高い冷却性能を持っているので、ワインの保管に適している」ということ書いていきます。

ペルチェとコンプレッサーでは全然違う「冷える」について

「冷凍庫は-15℃以下にしなければならないので、冷凍冷蔵庫はコンプレッサーしか使えない。でも、ワインは15℃くらいまで冷えれば熟成には足るので、それならペルチェも使える!!」という発想で、ペルチェ式ワインセラーが開発されているように思います。ペルチェ式のワインセラーも確かに冷えます。ただし、「冷える」という言葉をコンプレッサー式と同列で説明しているので、そこに差がないかのような大きな誤解が生じています。

もっと、簡単に言うと、

ペルチェ式は、外気よりちょっとしか冷やせません。限界パワーで15℃をキープします。
コンプレッサー式は、キンキンに冷やせるし、凍らせることもできます。余力を残して15℃をキープします。

つまり、「冷える」の中身が全然違う!のです。

ペルチェで冷やせるのは、外気が30℃のときに15℃程度が限界なものが多い

実際に、ペルチェ式のワインセラーには、「外気より15℃だけ冷える」という注釈が記載されています。しかもこれは限界パワー。ドアを開けると再度冷やすのにエネルギーを必要としますし、外気や使い方によってワインの温度がキープできずに、ワインが劣化してしまう恐れが出てきます。

このように、ワインの温度をキープすることについては、とても大きな差があります。 以上、ユーザーメリットに着眼して、ペルチェとコンプレッサーの違いを説明してきました。

ここから先は、実際にペルチェとコンプレッサーという部品がどう違うのかを説明していきます。少し難しい内容にもなっているので、製品のことについてもっと詳しく知りたいという方に読んでもらえればと思います。

「大きさやかたち」が、そもそも全然違う

ワインセラーに使用されているペルチェ素子は四角い小さな板状の形をしています。とても小さくて薄い部品で、ひと口サイズの「板チョコ」くらいです。一方、コンプレッサーは、丸くて重い鉄の塊。サイズは「メロン」くらいあります。姿、形が全く異なる部品であることがわかると思います。

ほかの部品と一緒に使うもの

ペルチェもコンプレッサーも単品では使いません。いろんな部品と組み合わせて使うことで、冷却性能を発揮します。一緒に使われる部品についても、異なるものもあれば、同じようなものもあります。

組み合わせてみるともっと違って見える

これらの部品を組み立ててみます。これを「冷却ユニット」と呼びます。ワインセラーでは、製品のユニットを適正に内蔵して、電気のエネルギーを加えることで冷却性能を発揮します。画像で見るとわかるように、構造が全く違うことが見えてきます。


構造が大きく複雑なコンプレッサーの冷却ユニット。そのため、組立も難しく、製造するためにはいくつもの大型設備が必要となります。その分、得られる性能(冷やす力)は最高レベル。必要な性能を満たすことを前提につくられている分、製品価格に反映されていきます。

ペルチェのワインセラーは環境負荷も高いし、静かでもない。振動源もある。

何年もの間、コンプレッサーと対比させて伝えられきている「ペルチェの優位性」は、そのどれもが誤った情報です。これらの誤解についても、理由を交えて解説していきたいと思います。

ペルチェの誤解 その1 環境にやさしい


ペルチェ式のワインセラーのほうが、環境負荷の高い製品であると言えます。確かに、ペルチェは冷やすために必要な冷媒ガスを必要としません。しかし、冷却パワーが低いので、大量の電気を消費します。また、部品の高温劣化に起因する故障リスクによって、廃家電の排出増加にもつながる場合があります。一方、コンプレッサー式のワインセラーに使われているほとんどの冷媒はノンフロン(R600a イソブタン)です。仮に使われていても数十グラム程度の実に少量の代替フロン(HFC-134a)で、カーエアコンなどと比較すると随分と少ないものです。したがって、相対比較では、コンプレッサー式(R600a冷媒使用モデル)のほうがエコロジーです。


ペルチェの誤解 その2 ペルチェ式は音が静か


ペルチェ式ワインセラーも駆動音があります。外側に放熱ファンが搭載されているので、回転音がダイレクトに伝わってしまうためです。ペルチェは、「熱移動」によって片面が冷えることが特徴なので、冷却面の反対側は熱くなります。熱くなった面は放熱しなければならず、それを促進するためのファンモーターが必要なのです。このため、決して静かだとは言えない機種も多いのが事実です。

最近では、「放熱ファンを省いているので音が静か」だとアピールしているペルチェ式ワインセラーも出てきています。ペルチェの原理を考えた場合に、このタイプのセラーがもっとも危険です。ペルチェ式は、部品の発熱により、冷却した分より沢山の放熱を必要とします。放熱ファンを省いた代わりにどのように放熱効率を維持しているのかについての説明がない限り、もっと冷えない製品になっている恐れがあります。

コンプレッサー式にもファンモーターが搭載されています。こちらは庫内の空気循環を目的としているので、製品内部にあります。そのため、ファンの回転音がユーザーに伝わりにくい構造になっています。


ペルチェの誤解 その3 振動がない


ペルチェ式ワインセラーにもファンモーターが搭載されているので、モーターの振動源が存在します。重要なことは、ワインが劣化しないようにどう対策しているかということ。コンプレッサーの防振処理や、冷媒配管に流れる冷媒(流体物)の圧力管理や配管の形状など、メーカーの技術で低減対策が可能です。通常は、一般家庭用冷蔵庫同等の振動がありますが、それによってワインの風味などに影響する(まろやかさが落ちる等)心配はありません。

本来はメーカー固有の技術で比較するもの

ペルチェとコンプレッサーの部品を比較してもあまり意味はなく、ワインセラーを製造しているメーカー固有の技術によってどんなユーザーメリットがあるのか、具体的な優位性が比較されるべきものです。当社では、この記事に記載した理由から、コンプッサー式ワインセラーにフォーカスした技術開発に取り組んでおり、個々の製品ごとにどんな優位性があるのか製品の詳細情報で説明しています。

最後に、ペルチェという部品は、目的にあった用途で使用する場合は、とても優れた部品です。 小型の温冷庫やノートPCのCPU冷却など、目的に応じて使うことにより適切なユーザーメリットが得られます。

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