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プレクーリングとは?熱中症を防ぐ効果的な手法と注意点を解説

2025年6月1日より改正労働安全衛生規則が施行され、職場における熱中症対策が法令によって義務化されました。猛暑が常態化する現代において、多くの企業や現場、スポーツ組織が安全管理体制の根本的な見直しを迫られています。
厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(令和7年5月20日付け基発0520第6号)」

これまで主流とされてきた「こまめな水分・塩分補給」や「空調服による外側からの冷却」といった従来の対策だけでは、過酷な暑さの中で上昇する体温を抑えきれないケースが多発しています。そのような中、そのような中、厚生労働省のガイドラインや最新のスポーツ科学でも強く推奨されている次世代の熱中症予防法が、事前に身体を冷やしておく「プレクーリング(Pre-cooling)」です。

本記事では、プレクーリングの基礎知識から具体的手法(外部冷却・内部冷却)、科学的メカニズム、効果的な実践方法、さらには運用の注意点までを網羅的に解説します。
労働現場やスポーツの安全とパフォーマンスを守るためのガイドとしてご活用ください。


目次

1.プレクーリングとは?熱中症対策で注目の予防手法

1.プレクーリングとは?熱中症対策で注目の予防手法

プレクーリング(Pre-cooling)とは、暑熱環境下での作業や運動を開始する前にあらかじめ身体を冷却し、深部体温(脳や臓器など身体の内部の温度)を意図的に引き下げておく予防手法です。

通常、人間が高温多湿な環境で身体を動かすと、代謝熱によって深部体温が急速に上昇します。
深部体温が限界値(約38.5℃〜39.0℃以上)に近づくと、熱中症のリスクが跳ね上がるだけでなく、脳の機能低下や著しい疲労感が生じます。
あらかじめ体温を下げておくことで、危険水域に達するまでの「時間的猶予(タイムリミット)」を引き延ばすことがプレクーリングの最大の目的です。

従来の対策(水分補給・空調服)との決定的な違い

従来の熱中症対策とプレクーリングの決定的な違いは、「事後対応・受動的対策」か「事前予防・能動的対策」かあります。

  • 従来の水分・塩分補給:
    汗で失われた水分・電解質を補う重要な対策ですが、すでに上昇してしまった深部体温を急速に下げる効果は限定的です。
  • 空調服・ミストファン:
    皮膚表面からの気化熱を利用して冷却しますが、高湿度環境では汗や湿気が蒸発しにくく、身体内部に熱がこもる「蓄熱」を防ぎきれない場合があります。
  • プレクーリング:
    活動「開始前」にアプローチし、身体の熱容量に余裕(貯熱量)を作っておくため、暑さに対する耐性を根本から向上させます。

【法改正対応】職場における熱中症対策義務化とWBGT基準

2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則(同規則第612条の2等)により、企業・事業者は熱中症の重篤化を防ぐための具体的な措置を講じることが法的に義務付けられました。

義務化の対象となるのは、「暑さ指数(WBGT)28度以上、または気温31度以上の環境下で、継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行われる作業」です。
※WBGTとは、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数です。単位は気温と同じ「℃」で表記されますが、気温そのものの数値とは異なります。
ご参考:環境省「熱中症予防情報サイト」

厚生労働省が策定した「職場における熱中症防止のためのガイドライン」においても、作業離脱や緊急搬送の手順整備に加え、作業前や休憩中の「身体冷却措置(冷水やアイススラリー等の摂取、冷却設備の設置)」が強く求められています。

2.プレクーリングの主な手法と種類(外部冷却と内部冷却)

プレクーリングは、アプローチする部位と方法によって大きく「外部冷却(External Cooling)」と「内部冷却(Internal Cooling)」の2種類に分類されます。

【外部冷却】アイスベスト・手掌前腕冷却・冷水浴の特徴

外部冷却は、皮膚や体表近くを通る血管を外側から冷やす手法です。
主に取り入れられている方法は以下の通りです。

  • アイスベスト(保冷剤入りベスト):
    胴体(胸・背中・脇下)を覆う保冷着。着用したまま準備作業やウォームアップが行える手軽さがあります。
  • 手掌前腕冷却(AVA血管冷却):
    手のひらや前腕部を10℃〜15℃程度の適温冷水で冷やす方法。手のひらには動脈と静脈が直接つながる特殊な血管「動静脈吻合(AVA血管)」が密集しており、ここを冷やすことで冷やされた血液が全身を巡り、効率よく深部体温を下げます。
  • 冷水浴(シャーベット浴・アイスバス):
    冷水を張った槽に全身または下半身を浸す方法。冷却効果は最も強力ですが、設備の準備や場所の確保が必要です。

【内部冷却】アイススラリー・冷水摂取の特徴

内部冷却は、冷たい飲料や氷を直接口から摂取し、消化管の内側から核心部(深部体温)を冷却する手法です。

  • アイススラリー(Ice Slurry):
    微細な氷の粒子と液体が混ざり合ったシャーベット状の飲料。流動性が高く喉から食道、胃へと広く行き渡るため、通常の冷水よりも圧倒的に高い冷却能力を発揮します。
  • 冷水・氷水摂取:
    4℃〜10℃程度に冷えた水や電解質ドリンクを飲む方法。最も手軽ですが、アイススラリーに比べると体温低下効果は緩やかです。

外部冷却と内部冷却のメリット・デメリット比較

冷却
分類
主な手法 メリット デメリット・注意点
外部
冷却
アイスベスト、手掌前腕冷却(AVA)、冷水浴 ・体表温度を素早く下げる。
・主観的な「涼しさ」を感じやすい。
・筋肉を冷やしすぎると運動機能が低下する(筋温低下)。
・装備の重量や大掛かりな設備が必要。
内部
冷却
アイススラリー摂取、冷水飲用 ・筋肉を冷やすことなく深部体温を直接下げる。
・水分・塩分補給と同時に行える。
・短時間での大量摂取は胃腸障害(腹痛・下痢)の原因になる。
・事前凍結・保管のための温度管理が必要。

3.深部体温を下げる!プレクーリングの科学的メカニズム

プレクーリングが熱中症対策やパフォーマンス向上において極めて有効とされる背景には、人体生理学に基づいた3つの科学的メカニズムが存在します。

体内に「貯熱量(許容量)」を作り、体温上昇を遅らせる

人間の身体をひとつの「熱のバケツ」として例えると、過酷な現場や運動によって熱が溜まり、バケツから水があふれた状態が熱中症です。プレクーリングを実施すると、作業開始前にあらかじめバケツの中身(体温)を減らしておくことができます。

この体内の「貯熱量(熱の受け入れ許容量)」が増えることで、高温環境下での作業開始後も限界体温に達するまでの時間が大幅に延び、熱中症の発症リスクを根本から抑え込むことが可能になります。

脳の温度上昇を抑えて認知機能・判断力の低下を防ぐ

熱中症の初期段階では、脳の温度上昇に伴い「注意力の散漫」「判断力の低下」「めまい」といった症状が発生します。工場でのマシン操作や建設現場での高所作業において、判断力の低下は死につながる重大な労働災害を引き起こす最大の要因です。

特に流動性のある『アイススラリーを摂取する内部プレクーリング』では、喉や食道、首元を通る頸動脈の周辺から脳へ流れる血液を直接冷却します。研究結果においても、アイススラリーの摂取が深部体温とともに脳温の上昇や脳血流量低下を抑制し、暑熱下でのクリアな意識と集中力を維持することが実証されています。

無効発汗を抑えて脱水リスク・身体的疲労を軽減する

気温・湿度の高い現場では、汗をかいても気化せず体表を流れ落ちるだけの「無効発汗」が増加します。無効発汗は体温低下に寄与しないどころか、体内の貴重な水分と塩分(電解質)を無駄に奪い、重度の脱水状態を招きます。

プレクーリングによって内部から体温を低くコントロールしておけば、体が過剰に発汗しようとする生理反応そのものが抑制されます。発汗量が抑えられることで体液の損失が最小限に留まり、心臓への負担(心拍数の異常増加)や全身の疲労感を著しく軽減できるのです。

4.現場やスポーツで効果を最大化するプレクーリングの実践方法

【タイミング別】作業開始前・休憩中(パークーリング)・終了後の実施手順

プレクーリングの効果を現場で最大限に発揮させるためには、一日の作業・活動サイクルに合わせた計画的なルール化が不可欠です。


■ 作業・運動の開始前(20〜30分前)【プレクーリング】

空調の効いた涼しい室内や日陰で実施。
アイスベスト着用や、アイススラリー(体重1kgあたり約5g程度)を時間をかけて摂取し、深部体温の初期値を下げておきます。

■ 休憩時間中【パークーリング】

作業合間の休憩時、上昇した体温を「リセット」するために手掌前腕冷却やアイススラリー補給を行います。前半の作業で蓄積した体内の熱を取り除き、後半作業の安全性を高めます。

■ 作業・運動の終了後【ポストクーリング / リカバリー】

活動終了後、体内に残った余熱を速やかに冷却。疲労回復(リカバリー)を早め、翌日への疲労残りを防ぎます。

筋温を下げすぎないためのウォームアップ・冷却温度の調整法

スポーツ現場や俊敏な動作が求められる作業場では、「深部体温は下げるが、筋肉の温度(筋温)は下げすぎない」という絶妙なバランスが重要です。

氷水浴などで筋肉を過度に冷やしてしまうと、関節の柔軟性や筋収縮のスピードが低下し、パフォーマンス低下や怪我の原因になります。そのため、アスリートや現場作業者には、筋温に悪影響を与えにくい「アイススラリーの内部冷却」や、血管のみをターゲットにする「10℃〜15℃での手掌前腕冷却」を優先的に選択することが推奨されます。

5.プレクーリングの運用課題を解決する氷温冷蔵庫「氷温M5」

アイススラリーの導入において企業が直面するのが、「専用のパウチ飲料はコストが高い」「現場で毎回作るのは手間がかかる」という課題です。これらの課題を解決し、厚生労働省も推奨するアイススラリーを手軽に導入できるのが、さくら製作所のマイナス5℃セラー「氷温M5(GXシリーズ)」です。

氷温M5(GXシリーズ)は、単なる「マイナス設定が可能な家庭用冷蔵庫」ではありません。第三者機関による厳格な証明と、安全基準への妥協なき姿勢が、他の冷凍・冷蔵機器とは一線を画す圧倒的なスペックを裏付けています。
※氷温M5(GXシリーズ)のうち、GX22/GX38上室/GX50上室がマイナス設定可能です。

ワインセラー販売シェアNo.1の技術力を応用した精密な温度管理

さくら製作所は、熟成環境下において日々の温度変化が許されないワインや、温度変化に極めてデリケートな日本酒(生酒)の鮮度を保つセラー開発において、国内量販店での販売シェアトップを誇るメーカーです。

氷温M5が他社製品と一線を画すのは、"液体温度"を正確に制御できる点です。
一般的な冷蔵庫は、冷却器についた霜を溶かす「霜取り運転(デフロスト)」の際に、庫内温度が大きく上昇してしまうことがあります。過冷却状態の飲料はわずかな温度変化にも敏感に反応するため、この温度上昇によって過冷却状態が解除されてしまうことが想定されます。

氷温M5は、特許技術「セラーデフロスト制御」を搭載しています。
複数のセンサーで庫内の状態を常時監視し、必要な時だけヒーターを作動させることで、液体温度の変動を極限まで抑制します。この高度な技術により、ボトル内の液体を「凍りつく直前のマイナス5度」という過冷却の状態で長時間安定して維持することが可能です。

認証機関JETが実証した圧倒的な冷却能力と温度キープ力

氷温M5の優位性を語る上で欠かせないのが、日本最大級の認証機関であるJET(一般財団法人電気安全環境研究所)による確かな冷却性能の実証データです。

JETの厳格な検査において、日本酒(1.8L瓶)5本収納時でも液体温度がマイナス5℃に到達することが実証されています。一般的な冷蔵庫は庫内の「空気温度」を下げることに留まりますが、氷温M5は比熱の大きい「液体そのものの温度」を確実にマイナスまで引き下げ、かつ維持できる実力を持っています。

この圧倒的な冷却能力こそが、飲料を凍らせずに過冷却状態へ導くための必須条件となります。

JETでの測定条件と結果

測定結果:一升瓶の平均液体温度-4.6℃~-5.8℃ (-3.8℃を上限、-6.5℃を下限で推移、庫内平均温度-5.2℃)
セラーに不凍液を満たした一升瓶(1800ml)を5本入れ、ボトル内の不凍液温度を測定。GX22SM525で計測
印加電圧100V、50Hz、設定温度:-5℃、照明OFF
測定日前日から製品に通電し、16時間運転
前日の通電から引き続き運転を継続し、10時間にわたり温度測定を行う。環境温度:25℃
温度測定は、熱電対Tタイプを使用

公益社団法人氷温協会が認定した真の氷温管理デバイス

前述のJETによる厳格な検証データに基づき、氷温M5(GXシリーズ)は公益社団法人氷温協会から「氷温機器」として公的な認定を受けています。

マイナス5℃まで設定できるセラー自体は他にも存在しますが、ボトル内部の液体温度測定や性能検証までを徹底的に行い、その裏付けを持つ機器はほとんど存在しません。食材や酒類の鮮度を極限まで保つ「氷温(0℃から凍結点)」を実現するデバイスとして公的に認められている事実は、温度の乱れが許されない環境での実力を示しています。

生酒などを氷温管理することで香りの劣化要因を抑制するこの高度なセンシング技術が、スポーツドリンク等の飲料を「凍る直前の絶妙な温度帯」でキープするために最大限に活かされています。
公益財団法人 氷温協会

菱形PSE適合と特許技術によるプロスペックの安全性

家庭用サイズのセラーでありながら、主に業務用のショーケースなどが対象となる特定電気用品(菱形PSE)の技術基準に適合している点も、氷温M5(GXシリーズ)の大きな強みです。

経済産業省が定める厳格な安全基準をクリアし、第三者認証機関での適合性検査に合格した機器だけが表示できるこのマークは、過酷な現場での長期間の安定稼働を約束します。制御基板をコンプレッサー熱から守る安心設計が施されており、一般的な家庭用機器(丸形PSE)を凌駕するプロスペックの耐久性を誇ります。

市販のペットボトルを入れるだけで「過冷却アイススラリー」を安定生成

氷温M5の魅力は、特殊な機材や高価な専用飲料を必要とせず、「市販のペットボトル飲料を入れるだけ」で運用できる圧倒的な手軽さにあります。
スーパーやコンビニで手に入るスポーツドリンク等のペットボトルを氷温M5に入れておくだけで、飲料はマイナス温度帯でも凍らない過冷却状態となります。
現場の作業員は、休憩時間に合わせて氷温M5からボトルを取り出し、手で軽く振るか衝撃を与えるだけです。その瞬間、過冷却状態の液体が一気にシャーベット状のアイススラリーへと変化します。
誰でも簡単に作れるため現場の作業負担を一切増やさず、かつ市販の飲料を使えるため継続的なランニングコストを大幅に削減できる点が、現場の安全対策設備として選ばれる大きな理由となっています。

現場の負担と導入コストを削減する理想的な運用フロー

「氷温M5」を休憩所や事務所に1台設置しておくだけで、その拠点全体が24時間いつでもアイススラリーを供給できる「スラリースタンド」へと早変わりします。

朝一番の作業前プレクーリングから、昼休憩時のパークーリング、終了後のリカバリーまで、作業員は好きな時に冷えたボトルを取り出して振るだけ。現場の準備負担を抑えながら、2025年施行の安衛則改正に準拠した熱中症予防環境が完成します。

アイススラリーで熱中症対策

氷温冷蔵庫の詳細は、こちらをご覧ください。

6.適切なプレクーリングで安全とパフォーマンスを両立。命と健康を守るために

猛暑化が進む現代において、熱中症対策は「体調が悪くなってから水分を摂る」ものから、「作業や運動の前に計画的に深部体温を下げておく(プレクーリング)」ものへと大きく進化しました。

適切なプレクーリングの知識と運用体制を構築することは、働く従業員の命と健康を守るだけでなく、企業の安全管理責任(安全配慮義務)を果たし、現場の生産性を維持するための最重要投資です。
今年の夏は、科学的根拠に基づいたプレクーリング対策を取り入れ、従業員の皆様が安心して働ける安全な現場環境づくりを目指していきませんか?

現場での具体的な運用方法や氷温冷蔵庫の導入についてご不明な点がございましたら、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。






参考文献

■法令および公的ガイドライン

■ 科学的根拠・実証データ(研究機関・学会等)

注釈

  • 本製品(氷温M5)は、業務用の技術基準を満たした家庭用-5℃氷温®冷蔵庫であり、アイススラリー生成専用の機器ではありません。
  • 熱中症対策としてアイススラリーを摂取される場合は、お客様の使用環境に応じて早めに、容量に余裕をもって飲料を収納し、取り出すタイミングを調整してください。
  • アイススラリー化(過冷却)の状態は、飲料の種類、糖度、配置場所、容器の形状、周囲の気温や直射日光などの環境、ドアの開閉頻度等により異なります。スポーツドリンクや経口補水液など、糖分を含む飲料は氷温下でも凍結せずにスラリー状になりやすい性質を持ちます。
  • 糖分や炭酸を含まない飲料(水・お茶など)は完全に凍結する場合がありますのでご注意ください。
  • 設定温度を0°C以下にする場合は、缶・瓶飲料は凍結時に破裂の恐れがあるためご注意ください。
  • 別途保管については、各飲料メーカーの規定を参照願います。
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