日本酒は保管方法を間違えると、途端に味が劣化してしまうことがあります。その繊細さゆえに、日本を代表する蔵元の中には日本酒を「生鮮食品」と表現したり、美味しく飲める期間をラベルに明記しているところも見受けられます。酒屋では必ず冷蔵ショーケースに入った状態で日本酒が売られているのも、温度によって味が損なわれるのを防ぐためです。
このことから、日本酒は管理が難しいというイメージを抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実はいくつかのポイントを押さえるだけで、自宅でも美味しさを保ったまま日本酒を保管することができます。
銘柄によっては美味しく飲める期間をラベルに表示しているものもありますが、基本的に日本酒に賞味期限はありません。しっかりと管理すれば何年経っても飲むことができ、中には20年以上の熟成させた古酒もあります。毎年11月頃に出回る搾りたてのフレッシュさを味わったり、ワインのように長期熟成させたりと、色々な楽しみ方ができます。
日本酒は管理が難しいというイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、ポイントを押さえれば自宅でも十分保管可能です。温度、光、ボトルの扱い方の3点に注意して、自宅でも美味しい日本酒を楽しみましょう。
日本酒を常温の20℃~25℃以上で保管すると、熱の影響で黄色や茶色に変色し、劣化臭が生じやすくなります。特にフルーティな薫酒タイプや、精米歩合の高い爽酒タイプは熱の影響を受けやすく、注意が必要です。0℃以下の環境を用意できなくとも、5℃~10℃くらいの冷蔵保管が望ましいとされます。
火入れをしていない生酒は火入れ酒より劣化が進みやすく、5℃程度の温度環境で保管しても劣化臭が発生してしまうため、冷蔵保管が必須、氷温保管が理想と言われます。冷やして飲みたいお酒は、基本的に冷蔵庫に入れることがベストでしょう。冷蔵庫に保管スペースがない場合は、布や新聞紙などで包んでから冷暗所に置きましょう。
日本酒はビールやワイン同様に、紫外線に弱いお酒です。醸造酒の中でも特に紫外線に弱いと言われており、1時間ほどで劣化し黄色く変色してしまうこともあります。お酒には青色紫外線が特に有害とされているので、白色の蛍光灯やLEDの光に長時間さらすのは避けたほうが良いでしょう。
最近では、光による劣化を防ぐために紫外線カット機能のある袋に入った状態で販売されている銘柄もあります。また、瓶の色が薄いものほど紫外線を吸着しやすいという点も覚えておきたいところです。
日本酒の瓶を寝かせて保管すると、瓶内の空気に触れるお酒の面積が広くなり、酸化によって成分が変化してしまいます。日本酒は一度にすべて飲み切るものではないので、開栓後は瓶を立てて保管しましょう。
しかし、一口に酸化と言っても、酸っぱくなったり、渋みが増したりする銘柄もある一方で、中には酸化することによってまろやかさが増すものもあります。搾りたてのお酒は粗さが残っていることが多いので、グラスを変えるなどして酸化を促進させる楽しみ方もあります。
日本酒は温度、光、酸化の3つに対してきちんと対策をしておけば、基本的に賞味期限がないお酒です。しかし、この3つの中でも熱対策はとりわけ難しいと言えます。ワインなら15℃で十分理想的な管理ができる一方で、日本酒の理想管理温度は0℃以下だからです。 管理温度と室温の差が大きいほど高度な冷蔵技術が必要になり、保管が難しくなります。
さらにワインとの違いは、日本酒ならではの一升瓶というボトルの大きさです。芸術的とも評価されるその形状やラベル、佇まいが一升瓶の魅力ですが、1800mlと大容量なため、お酒(瓶)の最深部まで低温で冷やすのが難しいのです。
このように管理の難しさと繊細さゆえに、本来の味わいを知らないまま劣化した日本酒を飲んで、味にがっかりしていまう方も少なくないのではないかと思います。
日本酒は、日本人が最も食べ慣れているお米のお酒。味のデータベースが日本人全員にあると言っても過言ではありません。丁寧に醸された、繊細できめ細やかな日本酒を味わうと、水、肴、お米など、さまざまな日本の伝統を肌で感じることができます。日本酒の素晴らしさ、繊細さを十分に感じるためには、保管環境をしっかり整え、熱対策を行うことが大切です。
日本酒の保管場所として最も安心できるのは、日本酒のために作られた日本酒セラーです。日本酒セラーは一般的なワインセラーと比べると温度を低く設定されていて、蔵元が推奨する-5℃~0℃で長期間保管できるなどの利点があります。
しかし、日本酒専用のセラーはまだまだ珍しい存在で、ワインセラーのように機能や見た目が洗練されているものは少数です。その認知度の低さや限られた用途から、飲食店でも日本酒専用セラーを用意するのではなく、ワインセラーや冷蔵ショーケースを日本酒の管理にも使っている場合が多いでしょう。
お気に入りの銘柄を沢山収納したい上級者やプロユースのニーズにマッチした、ワインと日本酒を同時に保管できるシリーズです。これまで搭載していた2温度管理機能に加えて、設定可能な温度を-2℃まで引き下げることに成功。高度な温度管理が実現し、品質にこだわるプロの目に適う氷温管理もできるようになりました。また、当社初となる右開きタイプと左開きタイプの両方をご用意。2台を設置して観音開きに使えば、4温度管理も実現します。
種類も味わいのバリエーションも豊富な日本酒は、ワインと比べると美味しく飲める適温ゾーンが広いお酒です。飲む温度によっても趣が異なり、飲み手が自分の好みを発見していけるという楽しみもあります。冷蔵庫で保管するだけでは難しかった各年度の銘柄を飲み比べたり、新酒を夏の間は寝かせて自分でひやおろしを試したりと、自宅ならではの楽しみ方も増えていくでしょう。