先日、縁あって参加させていただいた「SAKE100」さん主催のペアリングディナーで素晴らしい日本酒とお料理を体験する機会がありました。そこで経験した日本酒の魅力をレポートしたいと思います。さて、専らワインしか飲まなかった、私さくら製作所代表の穂積と役員の奥村が日本酒に目覚めたのは2018年5月頃。それから150種類くらいの日本酒を楽しみ、既にその魅力にすっかりはまっています。最近では日本酒メインとしたディナーやイベントなどにお誘いいただける機会も増え、ワインとはまた違う日本酒の楽しみ方を勉強しています。
そして、ワイン好きが日本酒好きにもなって気づいたことがあります。
- ワイン好きに、日本酒も好きだという人が結構いる
- 日本酒好きに出会う確率のほうが、ワイン好きに出会う確率よりもっと高い
- 20代~30代で日本酒好きがなんか多い気がする
- 日本酒が好きだと話すと、その人の故郷の一品やお気に入りの銘柄をいただく機会が増えた
- ワインに興味ない人をワイン好きにするより、日本酒に興味ない人を日本酒好きにするほうが簡単
- 都内で美味しい日本酒を出す居酒屋はいつも満員な気がする
- 実は日本酒はお洒落で洗練されている気がする
これまではワインばかりを飲んでいたので、日本酒の世界を知り、日本酒は「飲む」だけのお酒じゃないということもわかってきました。とりあえず、前置きはこのくらいにして、ディナーの様子をお伝えします。
“100年誇れる1本" 「日本酒の未来をつくる」を体感
SAKE100(サケハンドレッド)とは、株式会社 Clearさんが運営している新しい日本酒のブランドです。“100年誇れる1本”をコンセプトに、様々な日本酒の「粋」を集めたオリジナル日本酒を開発し、販売されています。同社は国内で最大級の日本酒メディア「SAKETIMES」の運営元でもあるので、日本酒を通じてより良い未来の実現に取り組んでおられる日本酒に特化したプロフェッショナルです。
アペリティフは巨峰に漬け込んだ日本酒のカクテル
まずは、ディナー開始前に、巨峰に浸けて風味と色付けした「深豊」にミントを添えたアペリティフが提供されました。とてもフレッシュでフルーティなカクテルのようなお酒。カクテルより甘みが抑えられた分、日本酒「深豊」にある旨味を感じました。純米酒と巨峰から作られているので自然の恩恵も感じる食前酒です。
日本酒をフルーツカクテルにして楽しんでみるのも面白いですね。
メニューの日本酒すべてに温度が記載してある
メニューを開くとお料理とペアリングするお酒が説明されています。驚いたのは、お酒の横に「提供温度」も記載されているということ。飲む温度まで指定しているのは中々見かけません。今回は、SAKE100のフラグシップ「百光」が、5℃、10℃、0℃と3種類の温度で提供されました。その他、「深豊」が45℃、「現外」が10℃、「天彩」が5℃の計6種類です。5℃で「飲む」ことを想定した百光は、管理自体は2~3℃でしているそう。グラスに注がれてからの温度上昇を考慮されている点は、まさにプロのこだわりでした。
料理とお酒、どちらもメインになる
ソムリエさんからのご説明によると、今回のディナーは「第6感まで使って感じるペアリング」です。まず、最初の雲丹とのペアリングは5℃で提供、濃厚な雲丹を主役に。次のカンパチとのペアリングは10℃。お料理の酸に同調してお酒をメイン側に配置。提供される温度で、お酒の味わいに変化があるのはもちろん、ペアリングする料理でも感じる酸や甘さなどの印象が異なります。料理にお酒を合わせるのが当たり前と思っていた私には、お酒自体が味のメインにもなるという発想はとても意外な発見でした。
5℃刻みの「温度」でちがいを楽しめるのは日本酒だけ!?
赤ワインなら14℃~18℃というようにワインには、「飲み頃温度」があります。一方、0℃、5℃、10℃、15℃と飲む温度が細かく分類されている日本酒は、「燗」にして飲むこともできるので一種類の銘柄でも「温度のちがい」で何度も楽しめるお酒なのです。0℃~50℃以上の幅広い温度のちがいによって味わいが変化するのは日本酒特有だと思います。
味わいのちがいを見分けるヒント
人の肌が、5℃と10℃の気温差を敏感に感じることができるように、日本酒の5℃と10℃のちがいも割とわかりやすいと思います。例えば、料理には「さっぱりとこってり」、「濃いと薄い」、「なめらかとかもっちり」、「液体とペーストと固形」、「明るめの色と暗めの色」、「生と過熱」、「海と陸」など料理から得られる情報を簡単な言葉に単純化することができます。
雲丹の特長は「濃厚さ。だから、5℃で提供することでさっぱりと合わせやすくしてるのかな」というようなイメージです。料理から得られる情報を元に少し考えてみると、普段食べなれていないものでもプロのなせる業を理解しやすいのです。そして、口に含んだ時に意外と予想に近いこともあるので、もっと感動しやすくなります。
24年熟成のヴィンテージ日本酒が存在する
ワインで当たり前の長期熟成。でも、日本酒の24年熟成というのは聞いたことがありません。それが、「現外」というSAKE100オリジナルのヴィンテージ日本酒です。見た目は完全にウイスキーのようなブラウン色です。味わいも日本酒のそれとは非なるもの。ウイスキーやブランデーのように、燻らせながらまったりと味わえそうな大人の味でした。日本酒の長期熟成は、鮮度維持を目的としたものや色や味わいを大きく変化させることを目的としたものまで様々ですが、子供の生まれ年の日本酒を20年後に飲むとか、入社した年の日本酒を定年時にプレゼントするなんていうロマンチックなことが、これからは日本酒でもできそうです。
日本酒なのにメイン料理と色が完璧に合ってる
ワインと料理を合わせるとき、色で合わせるというのはとても基本的なことです。ビーフシチューなら赤ワイン、白身魚なら白ワインと言った具合です。「現外」というヴィンテージ日本酒に合わせられたのは牛フィレ肉のグリルでした。ソースとお酒の色がとても似ていて、見た目の色だけで完璧にばっちり合っています。いただくと、さらに素晴らしい世界を知るのですが、現外のように珍しい熟成酒を、お酒と料理のペアリングだけでなく、見た目でもしっかり合わせてくるところにも感動しました。ソースとお酒の色だけなく、肉の焼き加減や照明、テーブル、レストランの雰囲気も含めた統一感が目の前に広がり、今回のディナーで最も印象に残ったシーンでした。
今回で日本酒のペアリング(料理との日本酒の相性)にも感動的な発見ができました。さらに、日本酒の素晴らしさを伝えることに情熱もって取り組んでいる株式会社 Clear代表の生駒さん、そしてその従業員の方々に触れ合うことができ、もっと日本酒を好きになりました。
これからは飲み手としても、日本酒の魅力を伝えていきたいと思います。もちろん、ワインも忘れてはいません。どちらも最高のお酒です。