ウイスキーの飲み方といえば、ハイボールやオン・ザ・ロックを思い浮かべる人は多いと思います。その一方、他の飲み方にもチャレンジしてみたいと思っても、難しそうに感じたり、敷居が高いイメージがあったりするのではないでしょうか。
実は、ウイスキーは多くの楽しみ方が手軽にできるお酒なのです。ミネラルウォーターとウイスキーを1:1で割るトワイスアップや、それにロックアイスを入れるハーフロックという飲み方もあります。また、ハイボールはグラスやロックアイスにこだわるだけでも美味しさがアップします。
そして、味わいやコクだけでなく、樽の心地よさによって自然を感じられるのもウイスキーの特徴です。保管は日本酒やワインほど厳格ではなく、開封後も品質が長く維持されます。近年は樽の不足などで一部銘柄がプレミアム化していますが、本来は気軽に楽しめるお酒です。
この記事では、初心者でも楽しめるウイスキーの美味しい飲み方や割り方、ウイスキーに合う料理など、ウイスキーの基本知識をお伝えします。自分好みの飲み方をぜひ見つけてください。
まずは、ウイスキーとはどんなお酒で、どのような種類があるのかをご紹介します。
ウイスキーとは、醸造酒を蒸留して造られる「蒸留酒」というお酒のひとつです。蒸留酒であることに加え、大麦やトウモロコシなどの穀物を原料に使うこと、木樽で熟成させて造られることがウイスキーの3つの条件とされています。木樽の成分が移るので、琥珀色をしていることが特徴です。
ウイスキーの種類には、大きく以下の3つがあります。
モルトウイスキー | モルト(大麦麦芽)のみを原料として造られるウイスキー。香りが豊かで、特徴のある味わいです。 よく耳にする「シングルモルト」は、ひとつの蒸留所で造られたモルトウイスキーを瓶詰めしたものをいいます。 |
グレーンウイスキー | モルトのほか、トウモロコシや小麦なども原料として造られるウイスキー。風味は少なめで、すっきりとした味わいです。 |
ブレンデッドウイスキー | モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたウイスキー。双方の特徴が相まって、幅広い人に受け入れられやすい味わいです。 |
代表的な5つの生産国で造られたウイスキーを、五大ウイスキーと呼びます。
スコッチウイスキー | スコットランドで造られるウイスキーです。世界で最も生産量が多く、ウイスキーの代表的な存在となっています。「ザ・マッカラン」、「ジョニーウォーカー」などが有名です。 |
アイリッシュウイスキー | アイルランドで造られるウイスキーです。アイルランドは、ウイスキー発祥の地とも言われています(ただし、スコットランドが発祥という説もあります)。 「ジェムソン」が有名です。 |
アメリカンウイスキー | アメリカで造られるウイスキーで、トウモロコシを原料にすることが多くあります。「ジムビーム」、「アーリータイムズ」、「I.W.ハーパー」などが有名です。 |
カナディアンウイスキー | カナダで造られるウイスキーです。カナダはウイスキー生産量世界2位の一大生産国となっています。「カナディアンクラブ」が有名です。 |
ジャパニーズウイスキー | 日本産のウイスキーをジャパニーズウイスキーといいます。 サントリーの「響」、「山崎」、「白秋」、ニッカウヰスキーの「竹鶴」などが有名です。 |
ウイスキー初心者であれば、まずは気になる国の銘柄から飲んでみるのもいいでしょう。飲み比べをしたい人には、少量で安価なミニボトルがおすすめです。
ウイスキーは多くの飲み方があり、それぞれに特徴があります。ここからは、代表的な10種類の飲み方をご紹介します。簡単に作れるものばかりなので、ぜひ試してみてください。
居酒屋やレストランのメニューにもあるハイボールは、多くの人にとって馴染みのある飲み方ではないでしょうか。ハイボールは、ウイスキーをソーダ水(甘味料が入っていない炭酸水)で割った飲み物です。ウイスキーとソーダ水の割合は、1:3〜4程度がベストと言われています。
さわやかなのどごしで料理との相性もよく、多くの人に好まれている飲み方です。レモンやオレンジなどの柑橘類、しょうが、ミントなどを加えても美味しく飲むことができます。
また、ハイボールを半分凍らせる「フローズンハイボール」という飲み方もあります。夏場のキャンプやお風呂上がりに飲むと、冷たさがより一層楽しめます。なお、半分凍らせるには、さくら製作所「フロスティ」のようなパーシャル冷蔵庫がおすすめです。
水も氷も入れず、そのままウイスキーを飲むことをストレートといいます。小さなグラスに注いで、ウイスキーの香りを楽しみながら少しずつ飲みます。長期熟成したウイスキーなど、香り高いウイスキーの飲み方としておすすめです。
なお、ウイスキーはアルコール度数が40%以上と高いので、一度にたくさん飲まないようにご注意を。水をチェイサーとして用意するといいでしょう。
グラスにウイスキーを適量注いで、同じ量の水を加える飲み方です。アルコールを強く感じすぎず、香りはしっかり感じられます。
ウイスキーの香りを消さないために、水は常温であることがトワイスアップのポイント。グラスを揺らして、香りを楽しみながら飲んでみてください。
グラスに氷を入れてウイスキーを注ぎ、軽く混ぜてから飲むことをオン・ザ・ロックと言います。溶けた氷でウイスキーが薄まりすぎないよう、大きめの氷を用意するといいでしょう。できればグラスも冷やしておくと、より美味しく味わえます。
オン・ザ・ロックを作った後、ウイスキーと同量の水を入れて軽く混ぜる飲み方です。オン・ザ・ロックだとアルコールが強すぎると感じる人は、ハーフロックで飲んでみてください。
グラスに氷を入れ、ウイスキーと水を1:2〜3の割合で注ぐ飲み方です。水割りは、日本発祥の飲み方と言われています。
水割りを美味しく飲むポイントは、氷が入ったグラスにウイスキーを入れたら、水を注ぐ前にマドラーなどで混ぜ、溶けた分の氷を足すこと。氷が急速に溶けて薄まりすぎることなく、美味しさが長く楽しめます。
グラスに氷を入れ、水を半分〜7分目まで入れてから、マドラーなどにつたわせてウイスキーを注ぎ、混ぜないで飲むのがウイスキーフロートです。飲み始めはウイスキーを強く感じ、徐々に水割りのような味わいになるので、1杯の中で変化を楽しめる飲み方です。
細かく砕いたクラッシュドアイスをグラスにたっぷり入れ、ウイスキーを注ぐ飲み方です。ウイスキーが冷えて、グラスの外側に白い水滴がつくことから「ミスト(霧)」と呼ばれています。見た目が涼しげでウイスキーもしっかり冷えるので、暑い夏におすすめです。
耐熱グラスにウイスキーとお湯を1:3ほどの割合で入れて飲む、いわゆる「お湯割り」です。寒い季節やアウトドアで飲むときにおすすめの飲み方です。お湯が熱すぎるとアルコールの香りが立ちすぎるので、80度くらいのお湯が最適と言われています。
レモンなどの柑橘類やミント、シナモンスティック、ジャムなどを入れても美味しく飲むことができます。
フルーツやコーヒー豆、紅茶の葉などをウイスキーに数時間〜数日漬け込んで飲むのもおすすめです。フルーツなどのフレーバーとウイスキーの香りのマッチングを味わえるとともに、自分好みの味にウイスキーを仕上げられる楽しさもあります。
アルコールの香りを和らげてウイスキーを飲みたい場合は、ジュースなどで割ってみてはいかがでしょうか。ウイスキーが苦手な人でも飲みやすくなります。
ウイスキーを炭酸飲料で割ると、甘味が加わって飲みやすくなります。炭酸飲料はジンジャーエールやコーラがおすすめ。コーラ割りは「コークハイ」と呼ばれることもあります。ウイスキーと炭酸飲料の比率は、1:3〜4が目安です。
ウイスキーと牛乳を1:3くらいの比率で割る、「カウボーイ」と呼ばれている飲み方もあります。牛乳でウイスキーの香りがマイルドになるので、飲みやすくなります。少し砂糖を入れてもいいでしょう。
「ウイスキーティー」と呼ばれる飲み方が、紅茶割りです。ホットでもアイスでも楽しめますし、砂糖やレモンを加えるとさらに飲みやすくなります。
ジュース割りにすると、ウイスキーの香りとジュースの味わいのマッチングを楽しめます。
ウイスキーの飲み方によって、相性のいい料理も異なります。合わせる料理も含めて、ウイスキーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
さわやかな味わいのハイボールは、こってりとした食べ物と合います。料理の脂っこさをハイボールの炭酸が流してくれます。
また、香ばしい料理と合わせて、料理とウイスキーの香りのミックスを味わうのもおすすめです。
ウイスキーの香りを楽しむストレートやトワイスアップには、香りを引き立てる食べ物がマッチします。
ウイスキーの香りを楽しみつつ、氷でウイスキーが冷やされてすっきりと飲めるオン・ザ・ロック。飲み始めはストレートと相性のいいナッツなどと一緒に楽しみ、氷が溶け始めてしっかり冷えてからは、塩味のある料理と合わせるのがおすすめです。
ウイスキー専用のグラスをひとつ買うと、家でもウイスキーを美味しく味わえます。好きな飲み方に合ったグラスをぜひ用意してみてください。
ストレートやトワイスアップにおすすめのグラスが、チューリップのような形をしたテイスティンググラスです。飲み口の部分が狭くウイスキーの香りを強く感じられるので、香りを楽しむ飲み方に最適です。
オン・ザ・ロックを楽しむなら、ロックグラスがおすすめ。大きな氷を入れやすいよう口が広いのが特徴です。グラスが厚く、重みのあるものが多くあります。
ハイボールや水割りに向いているタンブラーは、ビールやサワーなど他のお酒を飲むときにも使えて便利です。ガラス製のほか、保冷力がある金属製など豊富な種類があります。
ウイスキーをストレートで飲むときは、ショットグラスもおすすめ。ロックグラスと似たような形をしていますが、容量は30〜90mlほどと小さく、ウイスキーの琥珀色も楽しめるよう、透明なガラス製であることが特徴です。
ちなみに、「ショット」とはウイスキーなどアルコール度数が高いお酒1杯を指す言葉で、日本でのワンショットの容量は30mlです。このワンショットを「シングル」と呼ぶこともあります。ショット2杯分であれば「ダブル」です。お店でウイスキーを注文すると、シングルもしくはダブルのどちらにするか聞かれることがあるので、覚えておくといいでしょう。
この記事では、ウイスキーの美味しい飲み方について紹介しました。多くの人に親しまれているハイボールの他にも、ウイスキーの楽しみ方はたくさんあります。今回ご紹介した飲み方はいずれも手軽に作れるので、いくつか飲み比べをして自分好みの飲み方を見つけてみてはいかがでしょうか。
また、合わせる料理によっても味わいが変わるので、ウイスキーの奥深さが一層感じられます。いろいろな料理との組み合わせもぜひ楽しんでみてください。
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