甘口、辛口、大吟醸に純米酒…日本酒に挑戦してみたいけれど、どれが口に合うのかわからないという方も多いのではないでしょうか。そんな時は、日本酒好きに聞いてみるのが一番。この連載では、お酒に詳しい方々のおススメする日本酒を紹介していきます。
第3回目となる今回は、日本酒クリエイターとしてSNSを中心にお酒の魅力を発信し続けている「いとみゆ」さんにお話を伺いました。初心者でも楽しむことができる、個性豊かな日本酒5種類をご紹介いただきます。
いとみゆ
日本酒クリエイター/日本酒学講師/唎酒師
東京生まれ東京育ちで趣味は酒蔵見学。実は20代は下戸だったが、知人からの「日本酒のこと勉強してみない?」の一言で日本酒の世界に魅了される。「日本酒で笑顔を増やすこと」をモットーに、Instagramを始めとするSNSで情報を発信。現在は日本酒イベントの開催や蔵元と一緒に酒蔵の魅力を伝える動画の配信、月に一度のオンライン飲み会などを開催している。
料理に合わせて日本酒を味わうことも大好きですが、なによりも人と人との交流を深め、笑顔の輪を広げるところが魅力だと思います。「乾杯!」と言う時、つらい顔をする人はいないですよね(笑)悲しいことは日本酒で流して、嬉しいことは日本酒で喜びを倍にできる、そんな素敵なお酒だと思います。
また、日本酒を学んでいくうちに生産される地域にも興味を持つようになりました。日本酒と日本文化の関わりの深さを知り、その面白さにも魅了されています。
特定名称:純米大吟醸
原料米:米(新潟県産五百万石)/掛け米(新潟県産こしいぶき)
精米歩合:50%
アルコール度数:14度
製造元:苗場酒造株式会社
公式ページ:https://naebasan.shop-pro.jp/?pid=152173737
「浅野日本酒店 HAMAMATSUCHO」でお仕事として新しいお酒をテイスティングした際に、「醸す森」に出会いました。「こんなピチピチしたお酒があるんだ!」と感動して、プライベートでももう一度飲みに行ったほどお気に入りのお酒です。
このお酒は日本酒を普段あまり飲まない方にチャレンジしてみてほしい一本です。香りはフレッシュなパイナップルのような華やかさで、口の中で踊る微炭酸はジューシーな甘みと旨みを引き立たせるいいアクセント。飲み終わりは酸味が味をきゅっと引き締め、初心者でも飲みやすい味わいに仕上がっています。
日本酒は、原料の米・米麹・水・酵母などを3回にわけて仕込む三段仕込みが一般的ですが、このお酒は原料を一度に全て入れて仕込む一段仕込み。製造工程のほとんどを手作業で行い、手間とコストを惜しまないからこそ、繊細かつ多彩な味わいを実現しています。
もう少しコクを感じたい方は「醸す森 純米吟醸」がおススメです。よりお米の味わいを感じながらもフレッシュな飲み心地で、まるで大人のカルピスウォーターのようなお酒です。
「はぁ、今日は疲れた…!」という一日の終わりの、ホッとする時間に飲みたい日本酒です。また、ホームパーティなどで乾杯酒として出すと、間違いなく喜ばれる一本だと思います。
洋食全般によく合うお酒ですが、特にカルパッチョやサラダなどさっぱりとした食事に合わせてみてください。香草や野菜の嫌味のない苦みと、日本酒の甘酸っぱいフレッシュな味わいがよくマッチします。
特定名称:純米酒
原料米:米(国産)、米こうじ(国産米)
精米歩合:78%
アルコール度数:8度
製造元:白鶴酒造株式会社
公式ページ:https://www.hakutsuru.co.jp/blanc/
東京駅ミットタウン八重洲TASU+で飲ませていただきました。食後のデザートとしてアップルパイに合わせて飲んだのですが、あまりの美味しさに頬が落ちてしまいました!
「甘いスイーツと日本酒を合わせよう」と思う方は少ないのではないでしょうか?しかし、Hakutsuru Blancは純米酒でありながら、アルコール度数は8%と低めの仕上がり。軽やかな口当たりが、甘いスイーツにも違和感なく溶け込みます。
また、このお酒の一番の特徴は「ハイブリッド酵母」を使用していること。ワイン用の酵母と清酒用の酵母を掛け合わせて造られています。麹は一般的な黄麹ではなく焼酎によく使用される「白麹」を使用。クエン酸を多く出すと言われ、軽やかな酸味と柑橘類などの日本酒には珍しいフローラルで爽やかな香りが感じられます。
これは街中の昼下がり、オシャレなテラス一択!恋人やお友達とまったりと会話をしながら、デザートと一緒に楽しんでみてください。きっと会話も弾むはず。アルコール度数も低めなので、昼間から飲んでも安心です。
ラベルは、日本酒を連想させる稲穂が描かれ、白ワインボトルのような清涼感を感じさせます。オシャレなデザインなので、テーブルを華やかに彩ってくれます。
アップルパイなどの甘いデザートはもちろん、チーズとの相性も抜群です。モッツァレラチーズならカプレーゼにしたり、カマンベールチーズなら少し温めてバジルと一緒にいただいてもよく合います。
特定名称:純米酒
原料米:丹後産夢ごこち
精米歩合:60%
アルコール度数:14.2度
製造元:白杉酒造株式会社
公式ページ:https://shirakiku.shopinfo.jp/
この日本酒は最初の出会いを覚えていないほどロングリピートしている商品です。ただ、キュッと感じる爽やかな酸味に驚いたことはよく覚えています。「鏡よ鏡…世界で一番美味しいお酒は?」と語りかけたくなるような、可愛らしいラベルも印象的です。
日本酒には珍しいフルーティで甘酸っぱい味わいのMIRROR MIRROR。通常よりも多量のリンゴ酸を造り出すリンゴ酸多産性酵母の「協会77号酵母」を使用。「サンふじ」を思わせる艶やかなリンゴの香りが楽しめます。また味わいも、リンゴ酸の爽やかでジューシーな甘味が特徴です。
白杉酒造さんのお酒はどれも「酸味」が特徴的。日本酒造りには一般的に酒造好適米(酒米)が使用されますが、白杉酒造さんは食用米で全ての日本酒を造っています。また焼酎造りで使われる「白麹」「黒麹」を使用することで、独自の酸味を造り出しています。甘酸っぱい味わいに加え、微炭酸を感じたいなら生酒を試してみてもよいかもしれません。
お風呂上がりのくつろぎタイムのお供に飲みたい一本です。ちょっと頑張った日のご褒美として、アイスと一緒に食べると至福のひと時を過ごせます!
スイーツ全般に合わせると面白いペアリングが発見できると思います!ラムレーズンアイスにお酒をかけて食べると大人な味わいに。チョコレートと合わせると、お酒の酸味が感じられ、また違った美味しさに。甘いスイーツと合わせればよりお酒の酸味を、甘さ控え目なスイーツならお酒の甘みが感じられる、とても楽しいお酒です。
特定名称:純米大吟醸
原料米:山田錦
精米歩合:45%
アルコール度数:16度
製造元:渡辺酒造店
公式ページ:https://www.watanabeshuzouten.com/c/sake/jyunmai_daigingyo/irootoko720
2020年9月に、渡辺酒造店のTwitter(※現:X)のプレゼント企画に当選していただいた1本。この企画をきっかけに、渡辺酒造店のアンバサダーを務めたり、私が勤務している酒屋との取引が始まったり、イベントを開催できたりと、今でもご縁がつながっている酒蔵さんです。
あるホストクラブの現役No.1ホストから「女性を喜ばす最高にキレイな日本酒を造ってください」と言われて開発されたお酒なんです(笑)
使用しているお米は酒米の王様「山田錦」。もぎたての果実を思わせる爽やかな香りと、柔らかな吟醸香の優しい甘さが特徴です。キュートな飲み心地で後味は程よく甘みを残しながら消えていく…。一度飲んだらまた飲みたくなる味わいは、まさにNo.1ホストのように女性を虜にしてしまいます。
渡辺酒造店は、お酒造りの際に醪タンクにお笑いを聴かせるなど、ユニークでエンタメ性あふれる酒蔵さんです。気になった方はぜひ他のお酒もチェックしてみてください。
オシャレでインパクトのあるラベルが特徴的なので、イベントやホームパーティなどに持って行くと盛り上がること間違いなし!頑張っている自分へのご褒美にもぴったりです。飲む際は、キンキンに冷やすと美味しさが際立ちます!
香りが華やかなお酒は、脂味と塩味をうまく使った料理によくマッチします。特に「色おとこ」のような味わいの日本酒は、味付けの濃い料理ではなく出汁を使った料理にぴったりです。関西のおでんやポテトサラダなどに合わせると、お酒の旨みがより引き立つのでおススメです。
特定名称:純米大吟醸
原料米:酒造好適米100%
精米歩合:50%
アルコール度数:13度
製造元:吉田酒造株式会社
公式ページ:https://e-gassan.com/item/125/
2022年2月に取材に行かせていただいた際に出会ったお酒です。5種類ほど試飲させていただき、一番印象に残ったのが「美月」でした。「美」しく山頂で輝く「月」の様に飲む人全てを魅了する究極の味わいを追求した月山美月。ラベルは社長の奥様がデザインされているそうです。
アルコール度数は13%と低めながらも、甘み・旨み・苦み・酸味のバランスがよくしっかりとした味わいが特徴です。果実のような香りと軽やかな口当たりで、後味はすっきり。あまり日本酒を飲んだことがない人にこそおススメしたい一本です。
吉田酒造は、新鮮なお酒を届けるために冬に造ったお酒をその1年間で売り切る「フレッシュローテーション」を推奨しています。火入れした日本酒でも生酒のような微炭酸を感じられるものもあるので、他の商品も合わせて楽しんでみてください。
「月山 美月」は気づいたら飲み切ってしまうほど飲みやすいお酒。家でお友達や一人でゆったりと楽しんでみてください。すいすいと飲み進めてしまうので、お水と一緒に嗜んでくださいね。
飲み飽きしない味わいなので、ほうれん草のお浸しやお新香などをお供にお酒をメインで楽しんでもらいたいです。また、アルコール度数13%と言えど原酒なので、ある程度ボリュームのある肉料理に合わせても美味しいですよ。
少し変わった味わいの日本酒から、オシャレなラベルのものまで個性的なお酒を紹介していただきました。一人飲みやホームパーティなど、幅広いシーンで楽しめそうなお酒ばかりでしたね。
今回は日本酒の中では比較的アルコール度数が低く、ライトに飲めるお酒も多くあげていただきました。日本酒初心者の方はぜひ紹介いただいた5種類の中から、試してみてはいかがでしょうか?
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